Vater乳頭部
Vater乳頭部は胆管と膵管が合流して十二指腸に流れ出る部位で、乳頭括約筋を有し、1cm弱の膨隆が見られるところである。小さいが人間の体の中では戦略的部位で結石や腫瘍に侵されると命に関わる。
Vaterとはドイツ解剖学医学者の名前由来である。Abraham Vater 教授、1751年になくなっている。Wittenberg大学、(Leucorea)で教鞭をとっていた。
1700年代には多くの人体解剖が報告されてきた時期で、日本では江戸時代の腑分け(死体解剖)の時代である。
日本の解体新書が杉田玄白・前野良沢によって翻訳されたのは1780年代だから、鎖国により西欧の解剖学が日本に入ってきたのは50年ほど遅れていたと思われる。1700年代前半には解剖学者・病理学者が多く輩出し、その名前がついた人体解剖学的部位は多い。Morgani,孔、Winslow孔、Douglas窩、Lieberkuenn腺など多数ある。
解剖学名・医学名になるべく人の名前を使わないようにしようとのはからいから、最近の胆道がん取扱規約ではVater乳頭部は十二指腸乳頭部と呼ばれるようになった。
2001年に 国際Abraham Vater シンポジウムが、教授没後250年記念学術シンポジウムとして、Vater教授が教鞭をとっていたLeucorea(ロイコレア)で行われた。私は招待講演を日本人で唯一依頼された。指定演題名は"Neoplastic deseases of the papilla of Vater" であった。
(国際Abraham Vater シンポジウム プログラムの一部(2001, Wittenberg、Germanyドイツ)。私のセッション(3番目)の座長に当時ドイツのキール大学教授だったG. Kloeppel (クレッペル)先生の名がある。)
(国際Abraham Vater シンポジウム招待講演 2001 in Wittenberg、ドイツ:Vater教授の肖像画とともに講演した。木村理47歳)